可愛い女の子2
そう言えば・・・コイツは何て妖怪なんだ?
もう結構な時間見て来たが、未だにわからない。
妖気はほとんど感じられず、身体能力はかなり悪い。
こんなんじゃこの魔界では生き残れないだろう。
「は?が何て妖怪かだ?」
「ああ」
「何だ、お前知らなかったのか」
「・・・知らんから聞いているんだ」
別に知ってどうすると言う訳じゃないが、これだけ弱くて生き残れる種族なんていたか?
それが疑問だ。
「あいつは時人だぞ」
「時人?あの、自分の時間を操る一族か?」
「ああ、もう絶滅寸前で、今は何処にいるかもわからんがな」
「・・・だからアイツはあんなに妖力が無いのか」
「そうだ。時人は殆ど力を持たない、だから滅んで行った」
「なるほどな・・・」
そうか。
それでアイツはあんなに弱いのか。
と言うよりも、人間の女よりも弱いのだから、時人も絶滅するのは時間の問題だな。
・・・は躯の所にいるから、そんな心配はないんだろうがな。
「あいつも時人としての能力を使えるぞ。まだ未熟だがな」
「そうなのか?」
あいつが?
絶対に何かやらかして失敗しそうだ。
「ああ、一度だけ見せてもらった」
「ほう・・・」
「お前も見てみたらどうだ?言えば喜んでやってくれるぞ」
そう行って躯は用事があるとか言って何処かへ去った。
・・・時人の変化か・・・見た事がないな。
・・・・・言ってみるか。
「おい、いるか」
「ひえー?なぁに?」
ドアをノックすれば、がすぐに顔を出す。
躯が用意した部屋だが、中はコイツの気に入った花やぬいぐるみで埋め尽くされている。
しかもこの要塞にかなり似合わない明るい色調だからか、何となく違和感すら覚えた。
「入るぞ」
「いーよーv」
・・・このガキは本当に幸せな頭をしてるな。
何故こうも気軽に他人を招き入れる。
「ひえー。どうしたの?」
「・・・お前、時人なんだってな」
「うん、そーだよー」
「変化は出来るのか」
「出来るよーvvみる??」
「・・・ああ」
「えへへー、ちょっとまってね」
そう言うと、は何やらマジックを取り出して、床に突然何かを描き始めた。
「おい」
「だいじょーぶ。これあとできえちゃうもん♪」
消える?
何に使うんだ?
「でーきたv」
そうこうしている内に、描き終えたらしい。
見てみると、魔方陣の一種だった。
デカイ円の中に何やら紋章が描かれている。
「で?」
「このなかにはいるのーv」
アホみたいにぴょこぴょこ跳ねながらその魔方陣の中心に立つ。
そして、聞いた事の無い呪文を紡ぎ始めた。
次の瞬間、魔方陣から光が放たれ、の身体が見えなくなってしまった。
「!」
俺らしくもなく、慌ててを出そうと光に触れてしまった。
その瞬間、電気にも似た痛みが指先に走る。
なす術も無く、光が消えるまでじっと待つ。
漸く光が消え、を呼ぼうと思い魔法陣があった場所を見る。
そこには、がいなかった。
「ひえー。ひえー。どう?」
いや、はいる。
ただ、あのちびっこいガキがいない。
今目の前にいるのは、身体が成長しただった。
「・・・か?」
「うん、そーだよー」
口調はそのままだが、その姿は確実に成長していた。
多分、幽助達と同じ位だろう。
・・・それに、顔の造作も中々良い。
ガキの姿でも・・・・可愛いと言えば、可愛いんだろうな。
・・・どうでも良いが。
「どう?」
「・・・ああ、良いんじゃないか」
「ほんと?わーいvv」
別に口調がそのままなのは、良い。
逆に突然しっかりされても困るしな。
だが・・・
「おい・・・」
「なあに?」
「その服はどうにかならんのか」
「ふく?どーして?」
「・・・・・・・」
この馬鹿・・・!!
その服は胸元が思い切り覗くんだ!!
「ひえー?どーしたの??」
「・・・・・何でもない」
「?ふぅん」
「・・・で、それはどうやったら戻るんだ」
「これ?んっとね、もどれーって思ったらv」
自分の意思で操作出来るらしい。
現に今コイツがそう言ったら、元のチビに戻った。
「そうか」
「あとね、あとね、もういっこできるんだよーvv」
「?もう一つ?」
「うんvv」
何だ?
時間を戻すとか言うのか?
だったらわざわざ時間を待たずにそれを使えば良い・・・。
「何だ、それは」
「えっとねー・・・おとこのこになるのvv」
「・・・・・・・・・・・・は?」
今何と言った?
男になると言ったか?
「もう一度聞く、何になる?」
「おとこのこーv」
・・・性別転換か・・・?
何の意味があるんだ!!?
「いまおもいだしたのー。だからむくろも知らないよv」
「・・・・・・・・」
躯の奴も知らないのか・・・。
・・・それは良いな。
「・・・見せてみろ」
「はーい!」
アホな返事をすると、またマジックで床に魔法陣を描き始めた。
が言ったように、先程の魔法陣は消えている。
今度はまた違う魔法陣で、そこに立つと早速呪文を唱え始めた。
また、光が包む。
「・・・・ひえー?」
「!・・・確かに、男だな・・・」
一瞬驚いた。
蔵馬のように少し高い声だが、ちゃんと男だ。
あの成長したままの姿で、そのまま男になっている。
髪は短くなり、眼つきも鋭くなっている。
流石に元が女なだけあって、顔立ちは少し女のようだが・・・。
身体も完璧男で、スカートだった衣装も男の物になっていた。
「どう?」
「・・・・ああ・・・・上手く化けたな」
「??そっか」
男の姿でもそのとろい喋り方に違和感が無いのは何故だろうな・・・・。
「よう飛影」
「躯か・・・」
「どうした?機嫌が良いな」
別に良くは無いが・・・。
・・・ああ、コイツに言おうと思っていたんだ。
「躯、さっきの変化を見たぞ」
「そうか」
「ああ、二種類見た」
「・・・二種類?」
「アイツが思い出したんだと」
「何に変わっていた?」
本当に馬鹿だなコイツは。
「さぁな、自分の目で確かめてみろ」
「・・・・・・・・わかった」
・・・・本当に行ったなアイツ。
さて、躯の反応が楽しみだ。
END.