突然ですが皆様。

タイムスリップって、信じますか?

俺は信じてませんでした。

夢があるとは思ってたけどね!

でもさぁ、今はすんげぇ信じてますヨ。


だってさ。だってさ。








実際タイムスリップしちゃったもんな!!!











『想華』











あぁ・・・っと、自己紹介が遅れましたね。

俺は。ピチピチの18歳。高校三年生でっす。

いや、微妙に崖っぷち?

就職も進学も決まってねー・・・!!


就職っつってもさぁ・・・家業って言うか・・・うん、実はね、俺の家、謎な道場なんですよ。

いやっ、怪しい拳法とかじゃなくてね?一応結構な数の門下生さんもいるんだけどもね。

けどさぁ・・・こう、微妙にさぁ・・・お子様向けじゃねぇって!!

マジその内殺人拳法でも出て来そう・・・。

俺も一応師範代なんだけど、面倒だからあんまやってない。


・・・ジジイと親父に稽古はつけられてんけどさ・・・


ふっ・・・お陰でリラックス時に他人が近づくと無意識に臨戦態勢取っちゃいますよ・・・!


しかしね、そんな俺にも心安らぐ時があるのですよ。






「・・・・・・・・ここ、何処なのかしら・・・・」






そう、この人!

えーと、何とも気恥ずかしいんだけどもね。

何つーか・・・許婚!?みたいな・・・うっわ、はっず!!


えっとね、この人は同じ学校同じクラスの雪代巴サン。


すんげぇ美人で、性格も良いし何でも出来る・・・アレだよ、才色兼備?

ただ表情があんまり無いんだよなぁ・・・俺には笑ってくれるんだけども・・・。

折角美人なのに勿体無い。


巴って、和服ばっか着てるんだよなぁ〜・・・料亭の娘だから当たり前か?


あんまり洋服を着ているのをあんま見た事がない・・・制服以外。


てかね、俺と巴が知り合ってからもう14年なんだよなぁ・・・それなりに長い。

初めて会った時は、会話が弾まなくてどうしようかと思ったけどね。

幼稚園ながらに悩んでたよ俺!


って!何惚気てんだよ俺!!バカップルみてぇじゃんか!!




・・・?」
「え、あ、あぁ・・・ごめんごめん、何でもねぇよ」

ちょっと現実逃避してただけさ。

「なぁなぁ、それにしてもさぁ・・・」
「?」
「ここってさ、昔っぽいよな・・・」
「そうね・・・」

だってさぁ・・・ビルないじゃん?道路ないじゃん?周りの人皆着物じゃん??
明らかに現代じゃねぇよ!!

っつかさぁ・・・・・・


「俺・・・すっげぇ浮いてるよなぁ・・・」


皆さん着物&袴じゃん?

巴はいつもの如く和服じゃん?

俺ってばGジャンにTシャツにGパンじゃん?


おもくそ洋風だよ!!


違和感バリバリだね!!

「あぁ・・・とってもとっても、周りの方々の視線が痛いよ・・・」
・・・・大丈夫よ、ホラ・・・・警察の方は、私達の世界と同じだわ」

あ、ホントだ。
って事ぁさあ・・・着物も多いけど洋服もいるって事は・・・

江戸でもなくて、大正・・・あたり?
いや、明治?

「・・・結構、昔に来たな・・・俺等」
「そうね・・・」

いやもうさぁ・・・あまりに在り得ない事態に直面すると、人間って案外冷静なんだな。

まぁ・・・巴と一緒に来たから冷静になれてんだろぉけど。

これが1人だったら恐らく取り乱しまくってるね。

「う〜〜〜ん・・・兎に角・・・歩くか」
「そうね、何かわかるかも知れないし・・・」
「おっしゃ、行くか」

・・・とは言っても、ここが何処だかもまずわからん。


どうしたもんかねぇ・・。


「巴」
「なぁに?」
「・・・・腹、減らねぇ?」
・・・・お腹空いたの?」
「イ、イエス」
「ふふっ・・・。でも困ったわ、お金なんて持っていないから・・・」
「俺一応財布入れて来たんだけどさぁ・・・この時代じゃあ使えねぇよな・・・」
「そうね・・・」

うぅ・・・俺の野口英世・・・!
あ。そー言やこの時代って野口英世いるんかな。
うー・・・別にそれは良いや。
他に何が入ってたっけなー・・・って・・・・

「うわぁ!?」
「ど、どうしたの?」
「見てみろよコレ!俺の札が何やら謎な物に変わってる!!!」

何このレトロなお金!!
え?え??え???

「・・・もしや、この時代のお金とか?」
「そうみたいね・・・」
「俺さぁ・・・この時代の金なんかわかんねーぞ」
「私も詳しくは・・・」

くっそぉ!!
俺の野口英世をこんなレトロなコインにしやがって・・・!!

・・・ん?待てよ?

「・・・でもさぁ、この時代の金なら、飯食えるよな」
「そうね」
「・・・・・・・良し、食いに行こうぜ」
「でも、どれがどのお金だかわかるの?」
「・・・・・なんとかなる、だろ」
「・・・アバウトね・・・」

巴が呆れた様に溜息をつく。

しかし、許婚の溜息よりも腹ごしらえ、だ。

何処かに手頃なトコは無いかねー・・・っと。


・・・ん。


「見てみ。こべ赤だって」
「赤べこって読むのよ」
「えぇ?!そーなの!?」
「ふふっ・・・そんなに驚かなくても・・・」

く、くそぅ・・・バリバリ普通に読んじまったよ・・・!!
・・・でもまぁそっか、こべ赤なんて言わねぇよな、ふつー。

「ま、良いや・・・入ってみようぜ」
「そうね」


おぉ、何だかワクワクする。
ってか巴サン、先に行っちゃうんデスネ。
何だよオメーだって楽しみにしてんじゃねぇかぁ!!




「きゃっ!」




「あ!」


巴が赤べこのドアを開けた瞬間、向こうっ側からも人が来てたらしくて、その人とぶつかっちまった。

慌てて巴に駆け寄る。

でも、何だか巴にぶつかった兄ちゃんがすごく驚いた顔をしてる方が気になったり・・・。

だってさぁ、魂抜けた感じな顔してんだもんよ。

え、もしかして巴にぶつかった時魂落としちゃったとか!?それは大変だ!!



そんな事考えてたら、その兄ちゃんがポツリと一言呟いた。












「・・・・・・・・とも、え?」





























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