「良かったんスか?ご馳走になっちゃって・・・」
「良いのよ!ぶつかってしまったお詫びよ」
良かったぁ〜・・・。
金の支払い方法わかんねーモンな。
『想華 参』
「そう言えばさん達って、この辺りじゃ見ない顔ね・・・」
「あー・・・えぇ、まぁ・・・色々ありまして・・・」
「そうなの・・・あ、旅の方とか?」
「え゛、ま、まぁ、そんなトコ?」
「へぇ・・・あ、じゃあ宿はどうしてるの?」
「きょ、今日着いたばっかだから・・・まだ・・・」
つかもう、ね?
うん、何て言うかさぁー・・・
旅してません!すみません!!
実際は訳もわからないまま21世紀から飛んで来ちゃいました!
・・・なーんて言える訳ねぇしなぁ・・・
仕方ねぇ、旅人で通すか。
「そうだったの?じゃあ、良かったら家に来ない?」
「へ?」
「お部屋も空いているの。だから、旅の予定が決まるまででも・・・」
・・・・良い人だ!
えーと、誰だっけ・・・そうそう薫さん?
俺より年下なのかなぁ・・・でも、昔の人だしね。
「あ、ありがとう御座います・・・でも、良いんスか?」
「もちろんよ」
「やった。良かったな巴・・・・って、巴?」
てっきり隣にいるもんだと思ってけど、実は前にいた。
えーと。巴の隣の人は誰だっけ・・・・そうそう、緋村さんだ。
仲良いんかな、あの2人。
「巴!」
「え?・・・、どうしたの?」
「薫さんが、今日泊めてくれるってさ」
「まぁ・・・でも、宜しいんですか?」
「ええ、全然構いませんよ!」
「良かったわね、」
「おぅ。今日どうにもならなかったら、俺とお前で野宿だもんな」
「ふふっ」
ふぅ・・・良かった良かった。
・・・・・で、さぁ。
何だかさぁ・・・
緋村さんの視線が怖いのは・・・気のせい?
そー言えば・・・。
緋村さんて確か、俺等が自己紹介する前から巴って呼んでたよな。
呼んだっつーか、呟いただけだけども。
・・・巴ってこの時代に知り合いいたの??
いやまさかな・・・。
いたら怖ぇよ!
「そうよね、女性が野宿だなんて、危険だもの」
「ありがとう御座います。お料理をご馳走になった上、泊めていただけるなんて・・・」
「そんな、本当に良いんですよ」
あぁ、何だか巴もすごい溶け込んでるなぁ・・・。
俺と巴って、実は適応能力高いんかな。
「ここが私の家よ」
お。デカイ道場・・・。
ウチと同じ位・・・かな。
中に入ってみれば、純和風。
俺ん家みてぇだなぁ・・・これならすぐ馴染めそうだ。
・・・アレ。皆バラけちゃうのか?
・・・・・じゃ、俺等は薫さんと緋村さんについて行こうか。
「そう言や、ウチも道場なんスよ」
「まぁそうなの!?奇遇ねぇ〜・・・何て言う道場?師範は誰?」
「え、えと、知ってるかなぁ・・・武館ってトコ。師範は俺のジジイで、豪清」
ちなみに親父は幸武。
・・・何で俺の家計の男衆はゴツイ名前なんだよっ!!
しかもさり気に俺の名前が一番ゴツイ気がする・・・・って。
「ごめんなさい、聞いた事が無いわ・・・剣道じゃないのよね?」
「うん、違う」
「そう・・・ウチは剣術道場なのよ」
「そっかぁ・・・って、薫さん、剣道やるんだ」
見えねー。
可愛いのに。
「そうよ!これでも師範代なんですから!」
「師範代?じゃあ俺と同じじゃん」
「え、そうなの?さんも?何だか、本当奇遇ねぇ〜」
「だねぇ。でも薫さん可愛いから、扱かれても良いかも」
少なくともゴツイ親父やジジイに扱かれるよりマシだ。
「えっ・・・も、もうやだぁっ/////」
「いやいや・・・・・・イッデェ!!!」
痛い痛い痛い!!
背中がすげぇ容赦無しに抓られてる・・・!!!
こ、こんなキツイ攻撃して来るのは・・・つか、今は顔見知り1人しかいねェよ!!
「と、巴サン・・・不意打ちはヤメテクダサイ・・・いででっ」
「あら、何の事?」
「な、何って今抓ってんじゃねぇかっ・・・いってぇっつの!」
「これ位で痛い痛い言わない。男でしょう?」
くっ・・・巴、性格悪くなったな・・・!!
昔は大人しくて従順で可愛かったのに・・・。
いや、今でも勿論大人しくて従順で可愛いっつか美人なんだけど、何かが違う。決定的に違う。
「ふふっ・・・仲が良いんですね、お2人は」
「え、あ、まぁ・・・かれこれ14年の付き合いなんで」
「そうなの?長いのねぇ・・・あ、どうぞ座って」
居間に着いて、よっこらせと畳に座る。
うん。畳は落ち着くよなぁ・・・。
俺の部屋も畳だし。
「でも2人きりで旅してらっしゃるんでしょ?」
「え・・・まぁ・・・」
「ご家族・・・じゃ、ないですよね。あ、恋仲とか?」
薫さんがちょっと興味深そうに聞いて来る。
うん、まぁ・・・別に隠す必要も無いんだけどもね。
・・・と思って巴を見てみると、巴も笑って返してくれた。
「恋仲っつぅか・・・許婚なんスよ、俺等」
「えぇっ、い、許婚・・・!?」
「っ!」
うぉっ!
ひ、緋村さんが突然立ち上がった・・・・;;
しかも、顔、超怖ぇし・・・
え、何?お、俺、何かしたっけ??
「け、剣心・・・?どうしたの・・・?」
「・・・すまない、まだ、調子が良く無い故・・・少し、自室で休むでござるよ」
「そ、そう・・・大丈夫?無理しないで・・・」
「だ、大丈夫っスか?緋村さん」
「・・・大丈夫でござるよ」
いやあの・・・声も硬いし、顔も強張ってるんですけど・・・。
え、な、何、やっぱり、俺、何かしましたかーーーっ!!?
「あの・・・緋村さん、大丈夫ですか・・・?」
巴が勇敢にも声を掛ける。
また不機嫌っぽく返すのかなぁ・・・何て思ってたら・・・
「大丈夫。・・・・ありがとう」
微か。
ほんの微かだけど、笑ってる様に見えた。
??
声もちょっと柔らかかった様な気がしなくもないし・・・・。
???
気の所為、かなぁ・・・・???
「大丈夫かしら、剣心・・・」
「あ、あぁ・・・後で、様子を見に行ったらどうですか?」
「そうね・・・あ、それまでは、ゆっくり3人でお話でもしていましょうよ」
「良いですね」
巴も振り向いて、色々と話始める。
でも、やっぱりさっきの緋村さんが気になった。
巴の名前知ってたり。
帰り道でも並んで話してたり。
俺を睨みつけたり(?)
巴に優しく微笑んだり・・・。(幻覚かなぁ?)
・・・・・緋村さん・・・・・
もしかして・・・・・・・・・
巴に惚れた!!!?
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主人公、おしい!
惚れたんじゃなくて元から惚れてるんだよ!