※東京組が好きな方は見ないで下さい!




「何だよ話って」
「・・・わかっているんだろう」
「まぁな」



満月が浮かぶ河原の前。


が、先に来ていた剣心に問い掛ける。


だが、もう既に用件はわかっている様だった。





先程、斎藤との一騒動があったのだから。






「・・・京都ねぇ」
「ああ・・・」
「・・・抜刀斎には、行き辛い場所だなぁ」
「うるさい」


揶揄するに、剣心が眉間に皺を寄せながら返す。

だが、否定をしない所を見ると、間違ってはいないらしい。


「お前はどうなんだ」
「俺?京都がどうかしたか」
「お前は・・・行った事でもあるのか」
「・・・あるぜ。昔の事だがな」
「そうか・・・」
「だからお前の事を知ってるんだよ、抜刀斎様」
「黙れ」


不機嫌そうに言う剣心に、は呆れた様に肩を竦めた。


剣心は、いまだを見ず、水面をじっと見つめている。


「んで?・・・どうする」
「行くしかない。・・・行かねばならない」
「ま、三番の奴も決め付けてたしなぁ・・・」
「ああ・・・・・・」


歯切れの悪い剣心に、はふぅと溜息を吐いた。




どうせ、渋っている理由は想像がつく。




「お嬢達・・・か?」
「・・・・・・ああ」


の言葉に、剣心は頷いた。

・・・そう、薫達の事だ。


「アレも面倒だなぁ・・・だから長く居座るのは嫌ぇなんだよ」
「・・・・そうだな」
「つーか俺が行こうとしたら、テメーが止めたんだよな、糞ッタレ」
「・・・うるさい」

以前、1つの所に留まりたく無いからと、剣心と別れを告げようと思ったのに。

剣心が強引に彼女を止めたのだ。

その時の事を思い出したらしく、苛立ちに任せて舌を1つ打つ。

「その事は置いておけ」
「テメー自分中心だよな、意外と」
「うるさい」
「あー、はいはいわかったわかった、で?何をどうしてーんだよ」
「・・・・・・・で、だ、薫殿達の事だが」


剣心がを睨み付けながら、話を切り出す。

は、今度ばかりは静かに聴いた。



「・・・どうしたら良いと思う」



剣心の言葉に、真面目に聞こうとしていたがズルリとこける。

そして、頭を押さえながら怒鳴った。



「馬ッ鹿かテメェよぉ!どうしたら良いじゃねーよガキかテメェ、自分で考えやがれ!!」
「な、何をそんなに苛立ってる・・・」
「テメーんなだから女顔なんだよ」
「関係無い!」
「いーやあるな、女顔な上にまだ人斬りから抜け出せねーのもその性格の所為だな」
「〜〜〜〜っ」


の言葉に、剣心はグッと言葉を飲み込む。

痛い所を突かれたらしい。


「チッ・・・やっぱ、テメーを置いてさっさと旅にでも出るべきだったな」
「・・・・・・・うるさい」
「・・・ったくよぉ・・・で?どうしたら良いってのは何だ」
「・・・いや、彼女達の事だから・・・俺が京都に行くのは、嫌がるんだろう」
「まぁ、だろうなぁ・・・で?」
「・・・・彼女達を巻き込みたくはない」
「じゃあ放っておけよ」
「・・・・しかし」
「〜〜〜っだー!!何で悩んでんだようざってぇなぁ!!」


ガゴッと、が剣心を蹴り飛ばす。



不意を突かれた彼は、そのまま川にバシャンと落ちた。



「っ・・・お、お前なぁ!!」
「テメー腑抜けんのも大概にしろよ。志々雄を倒してーのかハッキリしろ」
「・・・・止めるに決まっている」


ビショビショに濡れたまま、剣心が答える。

は、呆れた表情だ。


「なら何を悩む。巻き込みたくねぇんだろ?なら気付かれねぇ内に消えれば良い」
「・・・・・ああ」
「何が気になるんだよ」
「何だか・・・彼女達が、ついて来そうな気がして・・・な」
「・・・・・あー」


剣心の不安の意味を聞き、が納得した様な声を上げた。


確かにあの正義感に満ちた性格だ・・・十分に在り得る。


は、早くも疲れた様子で返す。


「・・・うぜぇなぁ・・・」
「・・・・・まぁ、そう言うな」
「テメー、否定しねーだけ良い性格だよな・・・」
「お前のお陰だ」
「そりゃどうも。感謝しやがれ糞野郎」


突然テンションが下がった。

お互い、コレは重要な悩みらしい。


「・・・けどよぉ、来られたら困るな」
「ああ・・・だろう?」
「アイツ等が来たら・・・こっちは確実に不利だ」
「ああ」


の言葉に、剣心は頷く。

実力の乏しい彼等がこの戦いに参加すると言う事は、こちらの負担が増えると言う事。

そちらにまで、気を回さなければならない。


「ったく・・・来たって足手纏いなだけだっつーのに」
「・・・そう、だな」
「来て、結局守らなきゃなんねーのは俺等だしなぁ・・・」
「・・・ああ。志々雄達から見れば薫殿や弥彦は勿論、佐之も弱者にしか過ぎん。
 ・・・・そんな彼等を見逃す奴等でも無いだろう」
「テメー、遠回しだなぁオイ。ハッキリ言えって。
 アイツ等は足手纏い。来たらそれこそ俺等の邪魔になる」
「・・・・ハッキリ言うな」
「るせーなぁ。・・・だが、アイツ等の存在が足枷になる事は確かだ。
 この戦いにとって、俺等の弱点にしかならない」


の言葉に、剣心は頷きはしなかったが、肯定している様子だった。


「あー・・・俺等が心配なら、来るなっつーの・・・」
「・・・そう言ってやるな」
「わぁってるって。・・・で?どうするよ。アイツ等、置いてっても来る様な気がするぜ」
「ああ・・・だから、それで悩んでいるんだ」
「・・・・追い掛けないで下さいとか、手紙残すか?」
「それで言う事を聞いてくれるなら、何も苦労は無い」
「だよなぁ」


夜の河原、2人揃って頭を捻る。


だが、どの方法を取っても彼等を突き放せる術が無い。




「っだー・・・うざってぇなぁ・・・」
「・・・落ち着け」
「邪魔されんのが一番嫌ぇなんだよ」
「・・・まぁ、わかるが・・・」
「・・・足枷は、必要ねぇのにな」
「・・・・・言うなよ、それ」
「わぁってるっての」


剣心の釘に、は呆れた様子で手をヒラヒラと振った。


「・・・兎に角、なるべく早めに片付ける事が優先だな」
「・・・そうだな」
「・・・何だったらさぁ、俺、そのまま旅に出ても良い?」
「お前が行くなら俺行くが」
「いや、来るな。そろそろ一人旅に戻るわ」
「・・・良いから」
「良いのはテメーだけだ糞ッタレ」




2人そう話を纏めるが、やはりその予感は拭えず、揃って深い溜息を吐いた。




「・・・仕方ねぇ、明日、夜中に発つぞ」
「ああ、わかっている」
「・・・・大人しくしててくんねぇかなぁ・・・・」
「無理だろう」
「諦めが早いな抜刀斎様はよぉ」
「黙れ」





の言葉に、剣心は早速苛立つ。

相変わらず短気な男だと、はまた肩を竦めて見せた。






「よぉ、抜っさん」
「何だ」
「・・・京都に行って、アイツ等の顔見ねぇ事祈っとけ」
「・・・・・お前もな」







神谷道場へ戻る道を辿りながら、2人、また、揃って溜息を吐き出した。



































END.


薫や弥彦、佐之助が好きな方申し訳ない。
・・・てか読んでませんよね?
ボロクソ言ってますが、何も主人公は彼等が嫌いな訳ではありません。
ただ、邪魔されたり自分の時間を割かれるのが嫌いなんです。