初恋JINX
好きだった奴がいる。
ちっちゃい頃からずーっと一緒。
何をするにもぜーんぶ一緒。
確かに悪戯好きのガキンチョで馬鹿で、口だって悪かったけど。
でも、優しくて強くて、カッコ良かった。
男の子の中で、アイツが一番カッコ良いと思ってた。
出来るなら、ずっとアイツの傍にいたいと思ってた。
謂う所の、初恋。
でも私は知っていたの。
初恋と言うヤツには、ジンクスがあるって事。
初恋は叶わないって言う、ジンクスが。
最初は信じてなかった。
アイツとはいつも一緒にいて、下らない言い合いして・・・
そんな感じで毎日楽しんでた。
そんな折、アイツは車に轢かれて死んだ。
すごく悲しかった。
何で死んじゃったのって。
死んじゃったのは、私の所為なの?って。
でも、信じられない様な出来事は、立て続けに起こった。
アイツが生き返った。
私のお陰なのかな?
夢の通り行動したら、生き返った。
嬉しかった。涙が出た。
あの時の感動、多分私、一生忘れない。
その後は、もうゲームの世界。
霊界探偵、魔界、暗黒武術会。
初めてだらけで、もうついて行くだけで大変だった。
特にアイツは、何も教えてくれなかったから。
その分悔しさをバネにして、意地でもついて行ってやった。
たくさん友達も増えて、アイツとの仲も深まったと思ってた。
思ってたの。
何となく気付いたのは、あの日。
幽助が、あの人と話していた時。
すごく楽しそうだった。
だって、ちっちゃい頃から一緒のアイツだもん。
好きなアイツだもん。
幸せそうな顔なんて、一目でわかる。
あぁ、その人の事好きなんだなって、すぐにわかった。
もう、頭の中真っ白になった。
その直後に告げられた。
魔族になっちまったって。
その言葉を聞いた私は、自分でも意外な程冷静だった。
そして、自分の中で、ケリがついた気がした。
最初から付き合ってなんかいないけど。
さよなら。
しようと決意した。
その夜は1人で泣いた。
受験勉強だなんて言って、部屋閉じ籠って。
ひょっとしたらアイツ、来るかななんて期待したけど。
とうとう来なかった。
アイツは魔界に行ったらしい。
向こうには、アイツの好きなあの人がいる。
わかっているから。
わかっているから・・・。
アイツが魔界に行って、今日で1年。
改めて振り返ってみると、結構色々あった。
今もアイツは魔界にいる。
私は、念願の彼氏が出来た。
アイツと違って、品性あって、頭良くて、身長だってとても高い。
時折アイツと比べてしまうけどね。
あんな馬鹿は、きっと、アイツ意外にいないから。
もう吹っ切れた。
いい加減、過去の事をズルズル引き摺るのは、よそう。
それだけじゃあ片付けられない事もいっぱいあるけど。
あの時のキスも、人工呼吸ってくらいで済ませてあげるわ。
初恋は叶わない。
ジンクス通り。
今となっては、信じているジンクス。
身を以って経験したもの。
今回は初恋じゃないから、大丈夫よね。
ねぇ。
私、今、幸せよ。
アンタは私を幸せに出来なかったんだから
アンタの今好きな人だけは、しっかり幸せにしなさいよ!
ついでにアンタも幸せになれば良いわ。
アンタが帰って来たら、私の自慢の彼氏を紹介してあげる。
だからアンタも、アンタの彼女を紹介しなさいよ?
狐の耳と狐の尻尾を持った、可愛い彼女を。
今幸せだってちゃんと笑いなさいよ。
そうすりゃ私も笑ってやるわ。
もしもこの先、アンタが彼女泣かせる様な事したら
私が霊丸のかわりに平手でぶっ飛ばしてやるんだから。
覚悟しておきなさいよね
バカ幽助!!
END.