いつもの事。

いつもの喧嘩。

いつもの、捨て台詞。



「うるせー、この貧乳!」



上等じゃん。











スタイル抜群の菜々子さんに、恥を忍んで聞いてみた。


『胸って、どうやったら大きくなるんですか』


聞き出せた情報は2つ。


牛乳をたくさん飲む事。

他の部分から肉を移す事。


どっちも信憑性があるかわからないけど、何事もチャレンジ。


まずは、毎日牛乳から。


朝・昼・晩、毎日牛乳一気飲み。

朝が和食でも一気飲み。

お腹たぷたぷでも、一気飲み。


なのに、人の涙ぐましい努力を目の当たりにした馬鹿が、一言。




「ばーか。今更牛乳飲んだって、デカくなんねーよ」




ギクリ。

グサリ。




「チビはいつまでもチビだっつーの」




ほっ。

なんだ、そっちか。

馬鹿猿め、そっちじゃない。




「うるさい、馬鹿猿」
「んだとぉー!?」




うるさい体力馬鹿め、今に見てろ。








風呂場に行けば、毎度毎度、マッサージ。

元より肉のついていない二の腕や腹を、これでもかと。

真っ赤になるくらい揉んで、胸の方へグイグイと。

どうせつくなら、胸につけ。

念じてやって、またマッサージ。


ついでに鏡でじっと見る。


・・・効果、見えず。


「ちぇっ」


思わず舌打ち。

お前の所為だ馬鹿猿。











そんな努力を重ね重ねて、ある日のこの日。


菜々子さんに測って貰ったメジャーを持ったまま、部屋に駆け込む。


大して入っていないクローゼットを開け放って、服を一枚。

机の上から、袋に入ったままの下着を一枚。


つけてたシンプルなブラを取り外す。

あ。カルピンに掛かった。ごめん。

新たにつけるのは、さっきの下着。

菜々子さんがプレゼントしてくれた、胸を大きく見せる下着。

谷間が出来るらしい。へぇー。


それを装着したならば、続いて選んだ服を着る。

胸元の大きく開いた水色のカットソー。

あの馬鹿猿は青系が好きらしい。

竜崎がピンクのワンピース着てた時は褒めた癖に、どっちだ馬鹿。


まあ良いや。


鏡で自分を見る。


最終チェックオッケー。

ホントに谷間出来てる。最近の下着は侮れない。


アイツが階段を上がって来る音がする。

アイツの無遠慮な足音はすぐわかる。


そろそろ俺の部屋の前を通る。




さぁ、いざ勝負。









「お、リョーコ。なんだ、どっか行くのか?」
「・・・ちょっと、買い物」
「ふーん」


ドカドカ大股で近寄って来る隼人。

こっちも同じく、小さくゆっくり近寄る。

隼人の前。

さも思いついた様に、ピタリと止まる。


「ん、何だよ」


訝しげに見下ろして来る隼人に対抗して、じっと見上げてやる。

ちょっと意識して、胸を突き出して。


さぁ、さぁ、どうだ。






「・・・っ」






あ。






「・・・あ、あんま、胸、開いた服、着てんなよな・・・」






それだけつっかえつっかえに言って、足早に部屋へ入っていく。


顔を、猿みたいに、真っ赤にして。






「・・・・・・・・・よし」






小さく勝利のガッツポーズ。





















END.


突発隼リョ。
こいつ等はいつでも純情青春。
リョーコさんの方がガンガンアプローチしてると良い。
でも多分隼人は童貞じゃないよ。筆おろし済みだよ。
誰にって・・・そりゃあ、先p(ry)
リョーコさんはAカップ希望。隼人君は巨乳好き。(でもリョーコさんなら何でも良い派)