貴方が私に残してくれたのは
剣の技と
私の名と
女の痛みと
左頬の傷
それから
舞い散る桜の如く、日々降り募る、貴方への恋情。
あの人は、春には桜を肴に酒を飲む。
きっとこの様な望月には、格別の酒だと舌鼓を打っている事だろう。
そのあの人の姿を、私は布団に包まりながら、じっと見る。
何と綺麗な人なのかと、幼心に感嘆した物だった。
そして昼には、私を連れて花見をしてくれるのだ。
見事に咲き誇る薄紅の桜の下、私を膝に乗せて。
2人きりで、美しい桜を堪能するのだ。
あの人は必ず、花見は私としてくれた。
幼き日、私があの人に縋った時を、覚えていてくれたのだろう。
ずっと、一緒。
その約束は、私の身勝手な我儘の所為で、桜の様に儚く朽ちてしまった。
あの頃、あの人の手を握っていた手は、人を殺める刀を握り。
あの頃、あの人の赤い襟を掴んでいた手は、今は赤い血に塗れて。
それでも、貴方への想いは何一つ変わりはしない。
寧ろ、自身が狂気に堕ちそうになる度深まる、貴方へ焦がれる恋情。
例えば桜を見た時。
月を見た時。
紅葉を見た時。
雪を見た時。
酒を見た時。
何気無く、ただ空を見上げた時。
私の脳裏を焼き尽くすかの様に貴方への想いが溢れる。
こんなにも私は変わったのに、こんなにも貴方を想う心は変わらない。
ヒラリ。
一枚の桜が、舞う。
嗚呼、いっそ。
毎夜毎夜、桜の如く降り積もる貴方への想いも
この花弁の様に風に舞い血ってしまえば良いのに。
人斬り時代。16歳。師匠んトコを飛び出したのは15歳設定です。
そして15の誕生日に比古さんと契って、女になった。と言う設定。
頬の傷は最後、身体を重ねた時に比古さんにつけて貰いました。
最後、何故か変換が『散る』ではなく『血る』になってしまいましたが、
何となく素敵なのでそのまま。(常に行き当たりばったり)
てか何でこの絵、白い枠みたいのがついてるんだろ?
ちなみにタイトルは『やみさくら』、闇か病か迷った挙句コレ。